「組織的不正」を防ぐ――ガバナンスの心理学

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"組織のために"行われる「組織的不正」
データの改ざんや不適切な会計処理といった不祥事のニュースを目にするたび、「うちの会社は大丈夫だろうか」と不安を覚える方は少なくないはずです。
これらの組織ぐるみで行われる違反行為は「組織的不正」と呼ばれます。

「組織的不正」が、社員による会社の備品の私物化やサボりといった「個人的違反」と決定的に異なるのは、「組織や職場の利益のために」行われる点です。個人の私利私欲ではなく、組織のためを思って行われるからこそ、当事者の罪悪感が希薄化しやすいという根深さがあります。

なぜ、アンケートで「組織的不正」を把握できないのか?
一般的に、コンプライアンス調査などのアンケートで組織的不正の実態を把握することは極めて難しいとされています。その理由は、回答者が自分や組織を実際よりも良く見せようとする「社会的望ましさバイアス」が働くためです。

さらに、長年慣習化しているルール違反の場合、従業員自身がそもそも"不正"として認識していないケースも少なくありません。そのため、『あなたの職場では「組織的不正」が行われていますか』といったストレートな質問で実態を把握することには、構造的な限界があるのです。

予防の鍵を握る「属人的組織風土」
しかし、不正の有無そのものを直接探ることは難しくても、その温床となる組織風土をとらえることは可能です。

「組織的不正」「個人的違反」と組織風土の関連性を分析した先行研究では、「組織的不正」の発生には、「属人的組織風土」が強く影響することが示されています(岡本・鎌田, 2006 属人思考の心理学 組織風土改善の社会技術)。
「属人的組織風土」とは、業務上の判断や意思決定の際に、その"内容"よりも"誰が言ったか(人) "が過度に重視される組織風土のことです。

・「○○さんが言うなら、そのようにしよう」といった意思決定が常態化している
・議論を積み重ねて決めたことが、上司の「鶴の一声」で簡単にひっくり返る

このような特徴がみられる職場は「属人的組織風土」が強いといえます。同研究では、この風土が強い組織は、弱い組織に比べて「法律違反の放置」や「不正のかばい合い」といった組織的不正の発生件数が多いことも報告されています。

まずは「属人的組織風土の健康状態」の把握から
このように、今、組織的不正が起きているかをアンケート調査で直接見つけることは困難です。しかし、自社が「内容より人を重視する属人的な風土」に傾いていないかを客観的に把握することは十分に可能です。

重大なコンプライアンス違反は、長年築き上げてきたブランドや社会的信頼を一瞬で失墜させ、経営に致命的なダメージを与えます。最悪の事態を未然に防ぐためにも、まずは自社の組織風土がどのような状態にあるのか、その「兆候」を正しく知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

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※画像はAIで生成されたものです。


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